その96

 純粋に客観的に捉えようとするとき、捉える対象はそのものでしかない。捉える行為以前に実質がある。最も客観的なのはそのもの自体であり、対象を捉える行為は主観をはらむ。対象がいかにあるか、それを知らないから客観的に捉えるが、何かが主となることでしか生じない認識は、対象に対して不完全でしかない。認識は一面的でしかない。