その626

 何かだけがある状況それ自体は実在しない。では、この世界にかりに原初なるものがあったとき、原初はいかに発生するだろうか。不可能ではないか。つまり、原初とはまず何かだけがある状況それ自体ではないかと考えられ、それであれば、何かだけがある状況になるが、有における存在の本質としてはまず、関係性のうえで、その変化にあることになるが、原初とは無から有となった瞬間それ自体における何かしらのことである。仮に考えてみれば、原初における実体は有における他の何かとは関係がない。というか、何かがあるだけで他に何もない。ただそれでも原初が原初として実在するためには無の実在が必要となる。つまり、原初は無と関係している。さしあたり、そういうことができる。原初があるなら、無がある。無がないから原初はない、ただの持続がある。永遠かどうかは定かではない。