その625

 認識それ自体は、その実在性をして、世界における定点であり、その定まりは認識主体と認識対象のあいだに発生する。さて、すべての認識を掛け合わせたなら世界はできあがるか。できあがらない。世界はすべての認識の外にも広がっている。認識されない世界も世界である。世界とは存在するものごとのすべてを含んだ様を意味する。どんな主体にも認識されていない何かはしかし実在しないのではないか。なぜなら、すべてというすべてはつねに他の何かと関係を結んでいるからだ。何かと関係を結んでいる何かは、相互認識に状態にある。