その596

 際限がないといったとき、それは無限を意味するが、無限それ自体が実在した時点で、あらゆる可能性が現実に実在することにならないか。頭の中にあるものごとすべてが実在しなければ、無限とはならないのではないか。

 あるものだけがある。それが世界だ。頭の中にあるものごとが頭の外にでても、具体的にその何かが物質として実在するのではない。たとえば書かれた小説のストーリーは確かに実在するが、それがそのまま物質として展開されるわけではない。頭の中でイメージされるのだ。

 頭の中にあるその話はこの世界において実在することであるが、この世界にいかにしてあるか。物質としてあるか、精神内のみにイメージとしてあるか。いずれにせよ具体的ではあるが、物としてあるか、事としてあるか。事はそれが集まって物となる。物は事に分けることができる。