その588

 時間は何に属するか。時間の依存先があるはずだ。時間だけがあっても実在し得ない。りんごがあるように時間があり、りんごがなぜあるのかそのわけがあるように、時間がなぜあるのかにもわけがあるのではないか。りんごはいくつもこの世界に発生してきた。そのりんごはすべてがりんごだった。時間もまたこの世界に発生してきた。その時間のすべてが時間だった。発生するものとしてりんごも時間も同意か。りんごが発生するように時間も発生し続けているのか。りんごの発生に原因があるように、時間の発生には、ではどんな原因があるのか。いや、時間は発生する何かではなく、ただひたすらに流れているものかもしれない。とはいえ、あるからには何かとの関係にあるのではないか。何と関係にあることで時間はあるのか。それならそれで、何かがなければ時間はなくなってしまうのか。時間がなくなった時点で世界は無となる。時間と関連にある何かは時間とまったく同様にこの世界の実在のために欠くことができない。それはエネルギーではないか。その原因が閉鎖力にある。無限拡散する物質を押し留めようとする力である閉鎖力によって、無限拡散する力とそれを閉ざそうとする力のせめぎ合いによって生じる震えがエネルギーとなって世界を存在させ時間を生んでいる。そうではないか。