その577

 世界は具体的にさまざまな物で構成され、あるいは表現されている。世界を完全に俯瞰して眺めるなら、世界はさまざまな物で表現されているのを眺めることになる。現状ではいま自分がいるところからの眺めしかない。画像や映像があるにはあるが、それは本来の姿ではないのは言うまでもない。世界を俯瞰するといっても、立体の像としてある世界の動きを具に観察するために必要な視点はどこにいくつあればいいのか。俯瞰するとは見ることではないのかもしれない。絶え間なく動く世界をいったいどうやって知り尽くすことができるのか。まずもって、一個の球状にある地球の全体をどうやって知ることができるか。どの視点から眺めても一個の球状にある地球の動きの全容は把握できない。俯瞰するといった言葉の意味するところとは何か。奥から全体に向かって広がる広がりの表面から奥深くへと進んでいくことか。いや、世界を俯瞰するためには一瞬で世界のすべてを捉えないといけない。