その376

 可能性として考えられること以上に世界はさらにある。思考をどれだけ掛け合わせても、明らかにならない部分が永遠に認識されずにあるのか。世界はその性質を変えていく。その度に認識のあり方も変わっていかねばならない。あるいは、同じ世界に対して、それぞれさまざまな生き物がさまざまな認識を行なっている。いかに世界があるか、それは認識機能に依存して実在する。どんな生命にとっても同じあり方で認識される事実など、ほんとうにあるのか。世界は認識機能により切り取られて実在するに過ぎないのではないか。