その575

 通りを歩いているとき、一瞬で終わることはない。通りを歩いている間中、ずっとその時間が続き、その通りもまた続いてある。あるいは、歩いてないとき、その通りはその通りとしてあり続ける。その通りはその通りがある空間にとっての本質なのかどうか。通りとしてある空間はその通りがなくても空間として実在するが、とある通りによって区切られたことによって、その空間はその独自性をもった。空間とはだから、いくつもの区分けによって、それぞれがそれぞれその時々で独自性を持っている。万物はそのすべてによって空間を区分けする。時々刻々と森羅万象が空間の性質に文脈を与えている。ある広がりとしてある空間にはつねに何かがある。無であることはない。有はつねに何かしら具体的である。とある通りとして実在する空間はそうした文脈を世界に与えている。世界はいくつもの文脈でできている。いくつもの文脈が交差することで何かがある。