その576

 現実は言葉以上の何か。いや、言葉を含んだそれ以上の何か。川があって水が流れているように、雨が降っているように、言葉がある。その存在としての価値は、雨も川も言葉も同一ではないか。いや、同一というよりか、価値に優劣がないといった方が適当。確かに我々にはなくてはならない何かがあるとしても、今度はそれがあるためには、他の何かがなければならない。そう考えていくと、具体的になければならないと思われている成分であっても、その実在のために、我々の認識外に我々の存続のために必要な何かがあっても、なんらおかしくない。