その567

 意味が同じとは何か。川という言葉の意味がいかにあるか。一つだけではないが、一つの意味がさまざまな異なった場で使われることがある。異なった場で使われる一つの意味は同一か。意味は言葉のうちで完結していない。言語超越的に意味がある。そのとき、意味が同一であるかどうか、判断のしようがない。異なった場における意味が同一であるとき、その意味は何を持ってして同一なのか。それをいかに認識できるか。認識できないが、そのようにあるなら、そのようにある。そのようにある可能性について、ただ断言する。その断言するときの根拠がどこにあるか。存在のありようそれ自体が意味であるとき、そのありようは常々その変化にある。変化していくものの意味はつねに異なっている。同一の意味はない。

 結局、意味とは言葉の意味ではない。存在のあり様のことが意味である。存在のあり様のすべてが言葉になるのではないのだから、意味とはやはり言語超越的である。言語を超えたところにある意味とは、その存在のあり様それ自体である。その存在のあり様それ自体のそのようにあるそのあるがままが意味だ。