その575

 ある事実があり、それを確信していようと、確信していまいと、その事実はそのようである。そのようであるといったことが確信的であったとして、それがまさにそうであったとしても、その確信がほんとうに確信であったのかどうか。絶対そうだと思う感情にどこまで真実味があるかどうか。そのためには、確信がほんとうに確信であるとき、その確信がなぜ確信なのかを突き止めなければならない。人が確信を抱いて、実際にそうであるとき、それでも確信を抱いて、そうでないときがある。確信を抱いたからつねにその通りではない。であれば、確信がその通りであったのは偶然の可能性がある。確信の実在が怪しい。確信を抱いて常にその通りであれば、それを確信とすることができるが、現実的に確信がつねに確信であることはない。確信は確信であったり確信でなかったりする。当たったり当たらなかったりする確信は確信だろうか。