その552

 存在の原因、つまり、それ自体があることが、他の何かと一切の関係がないことが原因となって、ありえていることが考えられる。何かと無関係だから、それ自体がある。関係を持つことになってしまえば、含まれてしまい、それ自体ではなくなる。それゆえに、何かがそれ自体としてあり得ているのは、他の何かと同一の世界にあっても関係を一切もつことがない、つまり、触れ合ったとしても相互に完全に反応し合わない。そんな現象が存在の細部で起こっているのではないか。少なくともそうした可能性を考えることはできる。あるいは、すべてが溶け合って混沌としておらず、何かがいくつもはっきりとそれ自体としてあるのは、相互に関係を完全に断ち切る力が働いているからではないか。