その542

 何かが何かであるのは、何かであるからであるが、その第一原因が何かの外部にある。何かであるとき、その第一原因は選択することがないことがある。選択することのない偶発的な第一原因のもとにある何かが第二原因である何かそれ自体の根拠をもとに何かである。何かであること自体が何かであることの第一原因ではない。何かであることは何かであることの第二原因となる。それ自体が第一原因ではない何かとは何か。いかなることが起こっているのか。りんごがりんごであるその第一の原因にりんごの外部がある。しかし、りんごの外部はつねにりんごを発生させるわけではない。りんごがりんごであるりんご自体にある第二原因がりんごの外部にある第一原因との関係にある。そのとき、第一原因と第二原は相互的連関にあるのだから、いずれが先か不明とならないか。いや、まず先にある第一原因である外部が第二原因と繋がり合う。いったん繋がり合えば、先も後もないかもしれないが、繋がり合う以前の話において後先がある。まず先に第一原因である外部がある。外部があって、内部化されていく。世界の断片が原因となって新たな断片が生じていく。りんごではない何かによってりんごは生じた。りんごではない何かが一つではなかったから発生したのではないか。りんごが発生する原因がいくつかあったことで一個のりんごが発生するに至ったのではないか。何かを発生させる第一原因はつねに単一ではない。複数の原因があることが必ず求められるのではないか。