その551

 知っているとは何か。いかなることか。関係していることであれば、そのすべてを知っているといってもいいのだろうか。精神のおいて捉えられていないからといって、その他のことを知らないのだろうか。知っているから、いや、知っているようにして、精神の外にある何かと関わり、反応し合っているのではないか。それゆえに、たとえば私は生きて実在することができているのではないか。

 私が実在しているとき、私は何かと無関係であることができているから実在している可能性はないか。いや、実在の理由ではなく、ただ無関係である。無関係だから実在しているのではなく、ただ単に、無関係に実在している。関係を持つことがなく、何かと何かが同時に実在している可能性がある。何かに対して他の何かが無関係なのだ。対してはいる。対であって、対ではない。同一の場においてAとBが相互に無関係に実在している可能性がある。