その541

 蒸発していく水はそれ自体としてゼロになる。液体がすべて気体となったとき、液体としての実在性はゼロだ。何かにつけ、刻々とその変化にあるが、それでもさしあたりそれ自体としての姿にある。ゼロとなるまでその姿にある。液体が液体であることは言語による定義をこたところにある。そうであるか、そうでないか。それは純粋に物質の側に答えがある。その事実を私たちがどのように見分けるかだ。液体は液体であり、気体は気体である。個体は個体であり、液体ではない。何かがある姿にあるといったことそれ自体がこの世界において沈黙的定義を行なっている。それがそのようにあることがその他ではないことを述べている。個体が個体であるとき、それが個体の状態であることを可能にしている環境下にある。同一の原因がいかなる環境下にあるかで、いかなる姿にあるかが異なる。液体となり、気体となり、個体ともなる一つの原因がいずれであるかは、外部環境に完全に依存している。