その496

 何かがあるのは、その何か以外に原因がある。むろん、何かがあるのは何かそれ自体にも原因があるわけだが、それだけでは当然ない。何かがあるのはどうしてか。何かがそのようにあるのはどうしてか。そのようにあるその原因は、刻々と移ろいゆく世界に原因がある。いや、世界は言い過ぎか。何かがあることに世界のすべてが関わっているとは考えられない。関係性の渦が重層的に巻き起こっている、その総体が世界なのではないか。何かを主軸とした関係性は何かが消えれば、その関係性も消えてしまう。もっとも、世界にある何かのすべてが関係性を構築する主軸であると考えられる。そのとき、関係性はいかにあるか。あらゆる実在が主軸であるとき、関係性がいかにあるか。刻々と移ろう世界のなかで関係性がいかに構築されているか、それを認識しようとするとき、理解しようとするとき、結局のところ、認識の内側における関係性でしかなくなるのではないか。認識の外側ではいったいどんな関係性が作られているのか。