その355

 複雑すぎて分からないことがある。その複雑さとは何か。人間の認識機能にそぐわない。単にそれだけの理由が、その複雑さの原因か。複雑に感じられることは単に理解の難しさが原因にあるだけで、理解が難しいのは、認識主体からすればそのようにあるだけのことで、複雑なのは認識主体が感じるところなのではないか。認識の感覚により世界は複雑に感じられたり、単純に感じられたりする。世界そのものが複雑なのかどうかではない。何か他の認識主体からすれば、複雑に感じられることも複雑ではないことがあるはずだ。であって、私たちは複雑さを個別に所有しているのである。複雑になるような認識をその機能として所有しているのである。世界が実際どうかなのか、それは言葉を超えてある。複雑というのでもなければ、単純というのでもない。