その504

 ある紙があって、その紙の実存と関係のある領域が、別の紙の実存と関係のある領域にある。世界にはただひとつの関係性があるのではく、いくつもの関係性の連鎖によって世界はその構造を持っている。あるいは、世界は構造と非構造の実在によって形成されているのであり、非構造のうちに構造化されることがある。

 何かを主体と定めたとき、そこに一個の関係性が生じる。そんなイメージがある。しかし、その主体もまた別の関係性においては非主体である。主体はまったく同時に非主体である。なぜ主体があるのかは、認識主体に依存しているからではないか。認識しようとするから主体が発生する。存在しているものはすべてがさまざまな関係性を構築したうえにある。認識をとっぱらったとき、どんな風に世界があるのか、それはわからない。さしあたり、私たちは何かしらの関係性を探そうとする。それは認識をするためである。どう関係したうえで世界があるのか、それははっきりと分からない。どのように世界があるか、それは単に認識主体による主観的様式によるところにすぎない。認識主体と認識対象の関係性のうえに認識がある。私たちの認識は、その認識それ自体の機能的な性質と認識しれ自体の実存的性質のあいだにある。