その198

 存在の渦中にある認識は、その内的な中身を持つと同時に、その内的な中身が存在の一部として機能することで、外部へと働きかけをする。存在を捉える認識は存在の一部として機能する。存在の含まれた認識は存在それ自体だが、存在それ自体として、その変動にある。認識の変動は存在のあり方に依存する。いかなる認識となっているかは、存在がいかにあるかとの関わりにあるが、存在の一部である認識は、存在のあり方そのものをそのまま捉えることがない。認識されたことは存在だが、存在をそのまま捉え切ったのではない。認識は存在に対して齟齬がある。存在の完全性に対して認識は不完全であるが、認識そのものは存在の一部として、そのものとして完全である。