その197

 存在のうちにある私たちの認識はそのすべてが存在におけるできごとである。存在のうちに認識がある。いかなる認識をもつか。それは存在がいかにあるかに関わることであるものの、そこには2通りの意味がある。つまり、存在がいかにあるかそれ自体を捉えるのが認識であるといった見方と、存在がいかにあるかを捉えることそれ自体が存在のうちで運動をしているといった見方がある。認識それ自体の運動が存在のうちにあることと、認識そのものがいかにあり、私たちがどういった認識を持っているかは異なっている。認識それ自体の中身と、認識それ自体が存在の中で繰り広げること。いずれもが認識の存在において起こっている現象である。