その133

 私たちとはその認識による存在であり、認識に規定された理解のうえで存在を捉えている。認識されていないことも含んだ存在のうちにある。存在は私たちの認識以上の広がりを持った上で実在するのであり、認識されていないから存在としてのあり方としては異なっているというのではない。存在は私たちにとってつねに未知の部分を抱え込んだ上で実在する。知らないことがある。何を知らないかを全く知らないにも関わらず、その存在との関係の上に実在する。無意識には知っているのかどうか。無意識とは何か。言語化されない意識のことではないか。感じられる何かがある。言葉以前の何かであり、無意識とは言葉以前の意識をいうのではないか。感じられたことのすべてが私たちと存在のあいだにある。しかし、感じられない部分が感じられた存在にも宿っている可能性がつねにある。存在の一部始終を知るわけではない私たちは、存在の部分と対峙している。対峙した存在の全体とは何か。存在の全体とはその完全性であるとき、完全にできあがった存在のすべての実在をどうやって実証すればいいのか。完全であるから存在しているはずの何もが不完全にしか認識されない。