その608

 考えたことについて、起こること、起こらないことがある。起こることだけを認識として持つことはできない。純粋に推論を停止し、起こったことだけを認識するなら、認識内には事実しかない。未来について思考することで認識があいまいになる。すべては起こったことから明らかになっていく。起こったことが世界を作っていき、そうした起こったことだけを着実に認識していけば、なんからの認識のありようが実在しないだろうか。可能性を排除した、純粋に起こったことだけを捉えた認識それ自体を個別具体的に実在させる方法がないだろうか。