その602

 昨日はどこにもないといった意味で無となった。時間軸上に存在する無とは、それがかつてあったことで現在において無となる。昨日があったから現在があるとしても、昨日はもうどこにもない。無となった。りんごが食べられて消滅したように、昨日も時間によって消費されて消滅した。昨日も昨年も無だ。この世界における無のかけらだ。