その560

 世界が無となったとき、それまであった物事はすべて消滅する。やがて消滅するのに存在するものはそのすべてが意味をもっている。やがてすべてが無となるにも関わらず、ある。あることにはその意味ああるが、やがてすべての意味が消滅する。意味が消滅するのにある何か。何かが具体的にあることで世界にその意味を示しているが、その意味は途絶するのであり、その意味とは何か。あるから意味があって、なければ意味がない。なくてもあっても意味があるものがそのものの意味ではないか。なくても、そのものがあることで生じるその意味がそのものの意味だが、何かがあって、それはあるが、かつてあった何かがもはやないとき、かつてあった何かの意味は他の何かがあり、そのものとの関係にある。しかし、世界が完全な無となったとき、話は別の次元に向かう。つまり、すべてが無となったなら、それまであった意味や関係性のすべてが消滅する。やがてはすべてが無となるのになぜ何かがあり、意味を示しているのか。何かがあることで生じる意味は有限だ。すべては限りある意味を示している。すべてが永遠にあることはいうまでもなく、ありえない。つねに、何かがあって、何かがない。