その599

 拡散しようとするものが閉ざされていくことで結果的に生じるのが構造ではないか。拡散だけでは粒子の浮遊のみが現象として起こる。しかし、実際にはそうではない。世界はそのマクロでもミクロでもメッゾにおいてであっても、その構造を持つ。ミクロの構造が集まってメッゾの構造を作っている。メッゾにある、たとえばりんごはまず先にあるミクロの構造の支配下にあるのか。いずれが先か。つまり、りんごがりんごであるその構造が先にあって、そこにあてはめられるようにミクロの構造があるのか。いや。ミクロの構造がそのようにあることはその自然であり、そのミクロの構造をもとにしたうえでメッゾにあるりんごが発生している。そう考えたい。であれば、少なくともメッゾにおける何もがミクロの支配下にあることになる。つまりそれは細部の神の支配下にあることを意味しないか。神とはその全体を司る主体ではなく、それ以上分割できないミクロの構造のそれぞれのことではないか。世界を支配しているのは存在する限りのミクロの構造ではないか。