その589

 あるようにある世界は思考され、あることないことがこの世界に実在する。あるようにあるだけの世界をあるようにだけ考えることができるわけではない。あり得ないというか、絶対に違うこともわれわれは思考する。思考している時点ではそれが正しいかどうか分からない。そういった精神の運動がこの世界に内在する、その意味とは何か。あり得ないことが思考された断片としてだけこの世界に実在するとき、その意味が世界それ自体と反応している。あり得ることのみが世界に実在しているのであり、あり得ないことについての思考があり得ることとして実在している。