その591

 関係のなさもまた関係性のうちであり、なんでもかんでも関係していることが関係性ではない。関係のあり方がいかにあるか。それはすべてが関係していることを意味するのではない。関係があり、関係がない。何かと関係があったとき、同時に、何かと関係がない。それがものの自然ではないか。ものの自然状態とはつまり、何かと関係していて、何かと関係していない。関係がないが同じ世界にある。そうしたことが自然に起こっているのではないか。あるものがあるものとあるときにおいて関係がないこととは、それが無関係であることを意味する。一切の関係がないもの同士が同一の世界にある。あるにはある。あるにはあるが、そのあるものが世界の一切とつながっているはずはない。世界のどこかとはつながっている。すべてではない。関係のなさが絶対的にこの時空間に刻まれてある。何かがあれば何かと関係しているが、同時に、何かと関係していない。それが自然だ。