その570

 同一の地平にあって、関係のないAとBがあるとする。同一の地平にあることの意味は共有していても、一切の関係を持つことがないAとBは、相互に触れ合ったとしても交わることがない。たとえば、そんな意味で関係がないことを述べることができる。

 あるいは、Aの側からは一切認識できないBがあれば、認識内においてAとBは無関係である。

 また、すべては、あるというそのことにおいては同一である。あるかないか。あることだけを論じるなら、すべてはあり、そのあるといった意味において同一なすべても、いかなることとしてあるかとなれば、話は個別となり、ある話のうえではAとBは関係がないことがありえる。

 あることにおいて同一であるとき、それでもAとBが無関係であると言い切れるのか。あることにおいて同一である意味がAとBに同一に与えられているなら、AとBは完全な無関係であることはできない。限定的に無関係であるに過ぎない。むろん、限定的に無関係であることは、それだけで何かと何かが完全な無関係であることを示す。AとBのある部分が完全な無関係であるとき、この世界にある何かと何かが完全に無関係に実在することの証左となる。