その556

 物質の形状なり、そのありようを最終的に決定するのは自然だ。人の手が加わっていても、その手が最終的な結果を導き出すことはできない。この意味で自然は閉鎖していく力を持つのではないか。何かがあっても、ばらばらに散らばらない。散らばったようなものも何かしらの因果により構造化していく。あるいは、構造の一部を担う。自然は、収束していく力、つまり閉鎖力によって構造化していく。ミクロではつねにその構造にある。ミクロにおける構造がその原因となってメッゾの広大な領域にさまざまな個物を生成していく。そのすべてが構造化されていく。それは、閉鎖する力による。

 物質は無限に拡張しない。育っていく植物もあるところからそれ以上は大きくならないか、おおよそそのままの大きさのままだ。それがなんであっても無限に拡張しないこと。抑制が働いている。それが大きな意味で、この世界において無数にある個物が相互に作用し合っていることに原因があるのではないか。相互に作用し合うことがその自然であり、それゆえに、その自然において閉鎖力が働く。そう考えられないか。何かが無限に拡張していくことを自然における相互反応といった現象により抑制されているのではないか。すべての物質には閉鎖力が働くようにできている。それはアプリオリに、否応なく、世界に相互反応が実在するからではないか。