その517

 認識とは単に、何かの状況についての認識である。状況について認識しようとしたとき、何が認識可能か。動いている動きをそのまま認識できるだろうか。動いている動きは、そのすべてが認識可能だろうか。認識可能なことは、他と関係のない、限られた構造に過ぎないのではないか。他と関係がないから認識として成立する。他と関係があったとき、認識が認識外と繋がっていることになる。認識外と繋がった認識は、認識外の運動を含まなければ、認識として成立しないと考えられる。認識の成立はその完全性にある。それは認識されたことが世界で起こっている他のことと断絶しているからではないか。