その484

 認識内のあることがあり、認識内にないことが認識外にある。認識内になく、認識外にもないことはどこにもない。どこかにある何かが認識内にあり、認識外にある。世界とはその、認識内のことと、認識外のことを含んだ実在を意味する。頭のなかにあっても、実際には存在しない何か。それは認識内にもないし、認識外にもない。実際にあるものだけがあるとき、頭のなかにはいくつもの仮像がある。仮像のいくつかが実際にあるかもしれない。実際にないかもしれない。思考する私たちは、あり得るかもしれないことをいくつも生み出していく。そのうちのいずれかが実際にあり、実際にない。

 もっとも、認識それ自体が的確に得られたかどうか、それを判断する主体がどこにいるのかといった問いがある。正しさなるものがあるとしても、その正しさをだれがいかにジャッジするのか。