その367

 時間の経過のないところに数は存在し得ない。存在の広がりが僅かにでも存在するためには時間の経過がいる。時間の経過のうちに数がその痕跡をとどめる。数とはその運動のことであり、その増減は存在の流れが持つ時間の経過の力による。時間が流れることで増えたり減ったりする数はなぜ増えたり減ったりするのか。流れる時間のなかで具体的な現象が起こるからだ。具体的な現象とは存在の変化のことであり、変化するとは存在の状態であり、変わりゆく姿において、そのいかなるかはそれぞれその量をもつ。数とは万物における量を指し示すための力である。何かそれが実在してもつねにその量に違いがある。むろん、量の全てが数になるのではない。概略としての数で示される量である。数は量と関係したとき、その本質において無限である。変動する存在をとらえようとし、数に置換えようとするとき、無限の小さな地点まで辿ろうとする運動がそれぞれに数にあるが、その全容はそれが無限であり、果てはないのであるのだから、数で捉えようとすることにおいて、その限界がある。捉えた瞬間に対象はもはや次の実在となっている。