その549

 同一の現象を繰り返さない運動があるとき、その振る舞いとはこの世界においてカオスである。非構造的な運動は一度たりとも同じ振る舞いをしない。一刻、一刻とそのあり様がこの世界で更新されていく。カオスの運動は構造に含まれることがない。無軌道だ。軌道を持つことのない運動がいかに実在するか、それは言葉にならないのではないか。そのすべての瞬間が構造に含まれることのない運動は、私たちには予測できない。認識可能なものは予測できる。予測もまた、予測可能だから予測される。精神の実質を超えた物質の振る舞いは予測できない。その意味で精神内存在と精神外存在の分けて考えることができる。精神外で予測不可能な現象が確かに起こっているのではないか。