その476

 明日は現在からしたら、その距離があるのかどうか。距離とは何か。時間の流れにより生み出される変化の量を距離とするなら、現在から明日へと至る道筋には、その距離がある。ずっとその場にいても、時間は流れていく。ずっとその場にいても、現在から隔たっていく。かつてあった世界から現在まで、いったいどれほどの時間が経過し、それゆえに、どれほどの距離がこの世界によって駆け抜けられたのか。

 現在から離れていく世界はそれ故に、距離をもつ。ある場所からある場所へと移動するとき、そこには距離があるが、その距離にはどれほどの時間の性質が関与しているのか。ただ離れていくだけではない。ある場から離れていくだけで、そこには時間の性質の関与がある。どこかからどこかへいくとき、その地点ごとにそれぞれの時間の性質があり、それゆえに、距離の内実もまた異なる。数によって同じ距離を示しても、その離れ方それ自体の本質には、それぞれの固有性があり、具体的にはそれぞれが異なっているのではないか。同じ1メートルなどない。すべての1メートルは、その間にある時間の性質によって、それぞれ異なっている。