その3

 流れである時間は停止を持たない。あらゆる存在が時間であり、事物の変容は時間の経過である。時間があるから世界がある。世界は時間である。それぞれの姿は時間から紡がれる形式ではないか。姿が変わるのは時間の流れによるところであり、個別の時間が個物に宿っている事実をもとに考えたとき、時間は秩序に左右される。秩序だったものはそれ故の閉鎖にあり、時間を閉じ込めていると考えられないか。閉じ込められた時間は固有の現象であり、一律に時間があるのではない以上、時間である世界はやはり歪んでいる。

 物質の性質へ影響を与える最上位の概念が時間である。いかなる時間であるかがいかなる個物かを表現する。流れる時間は運動である。世界は運動である時間の流れである。流れがあるのではない。流れる個物がある。個物の姿は時間の形式であり、いかに経過する時間であるかは個物の形式による。個物の形式に影響を受ける時間はその流れを個物に託しているのか。時間の流れを決定づける個物の形式は時間を把握しているのであり、個物はそのまま時間である。私たちが時間を把握するために把握しないといけないのは個別の個物の形式と時間の関係ではないか。