その320

 認識外存在は認識内にはないのか。認識内にあることは認識外にあることとの関連にあり、認識外に存在する何かしらがなければ存在しないと考えられる。時間軸を投じて認識内存在を把握するなら、その存在は運動にあり、認識された瞬間以降、存在が関わろうとする何かを含んでいる。何かが存在するには時間の流れがなければならない。存在の広がりがあるためは時間が流れていないといけない。認識もまた存在について行うのであり、時間の流れのなかで捉えていかねばならない。時間の流れの中で行われる認識はたえざるその変容にある。一個の認識内存在があるのではない。姿を変えていく認識内存在はそれが認識内存在である限り、認識の外にはないが、可能性として、認識外の存在と関連している。つまり、認識内存在は認識外存在を含む可能性にある。