その317

 カオスとはあくまでも私たちの認識内において起こる現象であり、そこでは次の瞬間が予期できないのではないか。順番がない。本来はその順番を知らないことが多くあるなかで、秩序はその順番をもっている。それもまた私たちの認識内において起こることだ。認識内に順番があったり、なかったり。捉えきれなさのほうが先んじてあって、そこうちのどこかに捉えられた現象がある。かりに存在のすべてが秩序立っているなら、すべてに順番がある。ただそのことを知り得ないだけなのか。

 認識主体の実在により、秩序があったり、カオスがあったりしそうなものだが、それは認識主体が生み出している夢なのか。実際に存在はどのようにあるのか。いうなれば、起こっていることが起こっているのであり、その程度のことではないか。まったくの自然としてそれは起こっているのではないか。そのうちに法則性がある。それとも、万事が法則に貫かれてあるのかもしれない。ならば、すべては秩序立っている。ただそのことを知り得ない。知り得ないからカオスと認識する。カオスとはであれば、認識の限界がもたらす幻ではないか。