その260

 性質の異なったもの同士はそれが同じ地平のうちにあっても、互いに関連しない。そのような実在がたとえば、地球といった同一の地平に存在することがありうるか。非関連的な実在が地球上にあるとは考えがたい。相互に何らかの反応を示すものばかりだ。しかし、知っていないだけで、起こっている何らかの現象が他の現象とどうやっても関わることがない。同一の場にその現象を用意しても、互いに反応し合わない。完全に同一の場にその現象が同時に実在する。そのような存在のあり方があり得るだろうか。

 たとえば、存在の面と裏があると措定して考えてみるとどうだろうか。何かであって、それは一個の存在と認めうることが、実際においては、その表と裏があり、表と裏は関係してないとき、その存在は同一の場にあっても、非関係にあるといった捉え方が新しくできないか。通じているようでいて、通じていない何かがあるとき、その現象は個別に離反し、非関連的にある。それは一個のりんごについてではない。一個のりんごは表と裏は通じている。一個のりんごのような何か。それは一個のシステムにより生じた何かだが、そのあり方において表は表として実在し、裏は裏として実在し、同一の場でそれらが離反して実在しているといったこと。そのようなことを夢想した。