その231

 カオスとは、全体を捉えようとしたときに、けして認識できない状況のことを言うと把握することができる。存在の振る舞いが認識を超えている。認識可能の部分は確かにあるが、それですべてではない。起こっていることは複雑に絡み合っているのではないか。複雑に絡み合っている状況の全体がどうなっているか、部分だけを捉えても理解したことにはならない。複雑な状況をカオスというのではない。複雑な状況であっても、それはそのように起こっているといった自然である。ありのままの状況はありのままであり、カオスではない。カオスとは、私たちの認識が生み出す現象に過ぎない。カオスとして捉えられた現象にはその全体がない。もっとも、そもそもにおいて、認識しようとする何かにその全体があると考えた上で認識を行うこと自体が間違っている。認識対象はつねに認識を超越している。