その227

 可能性は存在しても、それは無限ではない。無限の可能性は存在しない。可能性もまた限定的ではないか。限られた範疇において起こりうることがある。起こりうること以外のこともまた起こることがあるだろうが、それもまた有限性のうちに含まれている。起こり得ないといったとき、それは私たちの認識のうちにおいて起こり得ないのである。可能性についての推論であっても、それは不完全である。起こりうる可能性のすべてを遡上にあげて考えることができるだろうか。推論することのできない領域が実際に起こることのうちにはある。起こることのすべてを予測することはできない。推論不可能性が推論可能性とともにある。できることがあれば、できないことがある。できないことがあれど、できることがある。

 認識の外で起こっていることにも関与することで存在している私たちは、無意識のうちで、意識的に理解していないことを理解している可能性はある。明白な認識ではなくても、認識として実在していると考えてもよいのではないか。まったく知っていないと感じられることを実は知っているから生きていられるのではないか。