その209

 存在はその流れである。流れの一切に断絶はないが、淀みや滞留はある。一切が等速で流れているのではない。領域が相互に反応しながら、その場で滞留する領域があれば、高速で流れていく何かもある。バラバラにある存在はその流れのうちで多様である。存在多様性とは混沌のことなのか。秩序がいくつもあれば、全体としては混沌だ。むしろ、秩序の存在は存在を全体として混沌にする。決定事項が秩序である。りんごはりんごであることが決定づけられた存在であるが、何かしら存在しているが、何でもないただの存在は存在し得ない。存在するものは何かしらの意味をもつ。しかし、その意味がどんな意味であるか、それは私たちの認識いかんである。つまり、領域を設定することで存在の意味が認識されるが、そのこと自体が私たちのうちなる領域で行われている可能性がある。