その205

 リアルタイムで何が起こっているかを具に知ることはない。知っているのは、枠組みで、現象として何がどう起こるかである。その意味で、存在は反復する。反復する枠組みのなかで生かされているのであり、その細部は異なっている。一度きりしか起こらないことが何度でも起こるとは、矛盾にあるが、それは表現の限界である。なぜ矛盾が存在するのかは、言語表現上の限界であり、かつ、合理的に把握しようとすることで生じる限界である。把握されなければ存在は矛盾しない。把握されない存在がそれでも矛盾することとは何か。反する現象が一個の存在のうちにあるわけではない。存在の流れは一通りであり、一回しか起こらないことの積み重ねにより構築される存在は二度と蘇ることはない。それでもある現象が復活するなら、それは枠組みが復活したことを意味する。かつてのあり方がそのまま再現されたのではない。