その187

 現在はその事実だが、事実のなかに偽りが混ざる。偽りの存在も事実であり、事実とはつねに正しいことばかりを含むのではない。誤ったことが誤って述べられることも含めて事実であるとき、事実とは、存在するすべてのできごとである。起こっていることのすべてが事実であり、起こっているといった意味においては、嘘も偽りもない。それはそう起こった。事実そう起こったのである。

 嘘をついた事実がある。その内容な、事実と相対したときに、反するが、反するといった意味においては事実であり、事実かどうかを問うのは、存在するかしないかを問うことである。存在する出来事の総体がこの世界を埋め尽くしている。