その185

 語は現場の文脈に依存する。定義は定義自体の文法に即したかたちでなされるため、語の定義は、その語の意味を狭量にしてしまう可能性がある。定義は文脈に依存し、その都度作り変えられる。使用者の実存がその語に命を与えるのだから、一口いえる定義をその語がもっているとするのは当座しのぎでしかない。どこに属した語なのかが問われているのであり、ひとしなみな定義が問われているのではない。唯一の定義があるのではないその語の意味はどこにあるかで異なってくる。定義は場により行われるのであり、辞書ではない。