その149

 存在するが姿を持たない何かを非物質と考えることができるが、姿のない何かが実在することがあるか。希望であっても、そう思う思いはなんらかの姿を存在のうちに秘めていないか。思うことそのことが言葉になったとき、その思いの全体ではないとしても、言葉としての姿が存在のうちに現れているのではないか。愛であっても、その思いが姿となって現れていることがあるのは、通りを歩く恋人たちを見れば、明らかではないか。一個の愛ではなく、それぞれの愛の姿がある。愛し合う人たちの存在は愛の姿の外部化であり、物質性がそこにはないか。