その142

 存在の原因にはその原因があり、その原因にはまたその原因がある。根源はそれでも現象であるなら、ひたすらなる現象が存在の根拠であり、一個の何かではなく、その変容のあり方すべてが存在の原因であるとき、現にある物すべてが存在の原因であり、存在はその始まりを持たないのではないか。様が変わっていく姿そのものが現象として存在の根拠であり、たえざる変遷の一瞬一瞬がなければ存在は実在しないのだから、あることの原因はあることであるといった考えが成立する側面がある。何かがあることで反応をし合うことで現象がおこる。現象が起こるためにはつねに何かなければならないと考えたとき、存在が存在するためにはつねに何かがないといけない。無からは何も生まれないと考える時の根拠は、無からは一切、現象が生じないと感がられるからだ。