その126

 認識は断片でしかないのか。全体自体が明白でないとき、全体にあてはまる認識かどうかの判断はつかない。全体があるから認識されうることがあるといった見方があるとしても、やはり全体は、それがなんなのか分からない。分からないことが先にあり、そのことには対処のしようがない。認識が断片なのか、全体を貫いているのか、その認識を持つことは永遠にできないのではないか。存在するものすべてについて把握することが不可能なとき、私たちの持つ認識は、どこまでの広がりにあるか定かではない。明白でないことに対する認識は可能性に過ぎない。別の事象を相手にしたとき、当てはまらないのであれば、ある認識はその領域内にある。領域内においては完結し妥当であるが、領域もまた動的であり、状況の変化にある。変わりゆくものの認識は変わりゆかねばならないのではないか。