その114

 なぜ存在は個別に実在すると考えられるのか。系の実在が存在を個別化しているのか。存在が個別に実在するとき、その運動を形作っているのは系ではないか。まず先に系があることで個別の実在があるのではないか。系とは何か。存在に形を与える運動か。系もまた運動か。りんごがりんごであるために必要な系とは何か。ある石が石であるために必要な要素はそのもの自体の素性である以前に、その系ではないか。系とは論理か。私たちの紡ぐ論理と同等の論理があったうえで石が石であるための論理が系として実在するのか。系とは論理であり、構造か。何もない、まったくの空っぽの状況に対して、構造といった枠組みが実在することで、そのものがあるのか。石とは石であるための枠組みが与えられたうえでの実在か。ある石がその石であるための枠組みとは、何によってもたらせるのか。どこかに実在するのか。