その112

 存在することと、存在しないことがある。存在することとしないことははっきりと別れているのか。存在は運動であり、存在しないものが存在するようになることがあるのであり、存在するとしないの間にあるのが存在の運動ではないか。存在しているのは存在の停止ではなく運動であり、運動である存在は、存在ではなく、存在することの集積であり、ことの連続が存在を形成しているのではないか。存在はことの連続により運動をし、実在する。起こっていることを微細に検討することで明らかになるはずの存在の実質は私たちの認識を超えて実在するのではないか。存在するものがそのようなあり方で存在しているのであり、起こっていることはその広がりのなかにあるのではないか。広がりとはしかし、私たちの認識領域のことに過ぎない可能性がある。存在はあらゆる疑念を排斥した上で、そのままその通りにある。そのいかなるかを知ることはできないのではないか。