その92

 存在のうちにりんごがある。存在の場において、りんご性がいかにあるかは、プラスかマイナスで計測できる。ゼロはあっていいのか。りんご性ゼロとは、存在の不在を表さないか。何かがある場には、さまざまな影が兆しているのではないか。りんご性がプラスのりんごが実際に存在する場に実在するのはりんご性だけではないはずだ。他の何かの性質をりんご性のうちから見出すことができるのではないか。私たちの存在も私たちが生きるためだけに実在しているのではない。私たちは他の何かのための外部であり、必要とされているとき、私たち不在の場であっても、私たちらしさはゼロではなく、マイナスと捉えたほうが実質的ではないか。